令和4年度調剤報酬改定 改定結果速報値

株式会社Kaeマネジメント(以下、Kaeマネジメント、本部東京都台東区、代表取締役 駒形公大)は、令和4年度調剤報酬改定に伴い、施設基準届出の変化等について、2022年6月時点の状況について調査を行いました。

「対物業務から対人業務への移行」をもとに調剤料の見直しなど大きな改革が行われた改定において一番のキーポイントは300店舗以上を保有する企業を対象とした「調剤基本料3ハ」の新設です。同一グループ企業の定義に曖昧さを残すものの、新たな調剤基本料の新設により中小・個店が多いと言われていた薬局業界の大手企業による市場占有率を図る一つの指標が出来上がりました。

 また、対人業務を行う薬局に対する施設基準である「地域支援体制加算」は4区分に増設され、従来の調剤基本料1以外の薬局にとって高いハードルであった「9分の8項目」が緩和。調剤基本料に左右されない施設基準へと生まれ変わっています。

 医療保険財政の改善から使用推進が行われている後発医薬品は2017年6月に閣議決定された「2020年9月までに、後発医薬品の使用割合を80%」を目標に施策が進められていましたが、2020年9月時点では目標達成にわずかに届かず、都道府県差ある使用率から新たに「2023年度末までに全ての都道府県80%以上」とすることを新たに2021年6月に閣議決定しています。

 これらの状況を踏まえ令和4年度調剤報酬改定の影響を「調剤基本料」「地域支援体制加算」「後発医薬品調剤体制加算」の算定状況(※速報値)をまとめてみました。なお、本調査において2022年4月1日時点での各厚生支局の情報を基にまとめていますが、掲載時期に差異がある為、以下のようになっております。

【5月1日時点の情報】
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県

【6月1日時点の情報】
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

【掲載しているデータについて】
 本調査は、各厚生支局に掲載されている施設基準届出を基に集計しております。集計に際し、旧施設基準の辞退届が提出されておらず、二重届出になっている薬局が各報酬で散見されました。本調査の目的は全体像を把握することを目的としているため、軽度な差異等については修正を行わない「概算データ」として記載をさせて頂いておりますのをご了承くださいませ。

調剤基本料3ハによって明らかになった調剤チェーン市場占有率は25%超

 調剤基本料は医薬品の備蓄(摩耗・廃棄を含む)等の体制整備に関する経費を評価した報酬であり、その区分は薬局経営の「効率性」を踏まえて設定されています。令和4年度調剤報酬改定では300店舗以上の同一グループを対象とした「調剤基本料3ハ(32点)」が新設され、業界の大きな話題となりました。

※特別調剤基本料は、いわゆる敷地内薬局の他、調剤基本料の届出をしていない薬局
 ※調剤基本料1の辞退届が出ていない薬局が相当数あり全ての修正が出来ていません。
参考データとしてお考え下さいませ。

 新設された「調剤基本料3ハ」を算定する薬局数は8,000軒を超え、全体の15%弱ということが分かりました。調剤基本料1からの変更が多くなっています。基本料の差は10点であり、年間処方箋を12,000回(※)としたときの医療費抑制は約100億円となります。

 大手企業の定義は未だ明確にはなっていませんが、調剤基本料3に該当する企業と仮定した時、今回の報酬改定により市場全体の25%超がすでにグループ企業であるということが見て取れます。実際には、300店舗以下の基本料3(イ)(ロ)に該当する企業では引き続き調剤基本料1を算定することができますので、それらの企業を加味すると、薬局業界全体におけるグループ企業の占有率はより高いと考えられます。

※2019年11月1日 財政制度等審議会 資料より薬局の平均処方箋応需回数

地域支援体制加算の届数は微増。気になる1年間の経過措置

 薬局の対人業務への取り組みを評価する「地域支援体制加算」は従来の2区分から4区分へ増設されました。4月以降新たに調剤基本料3ハに該当する薬局には「調剤基本料1を算定しているとみなす」経過措置が1年間設定されています。施設基準の届出薬局数は改定前が20,896軒に対し、改定後は23,230軒と微増という結果になっています。

 所在する薬局数による影響も考えられますが、都道府県別の届出割合を見ると、徳島県の69.7%が最も高く、滋賀、京都、和歌山と続きます。割合が低いのは沖縄県の14.6%に続き、山梨県の21.3%、岩手県の23%となります。傾向として西高東低と言えます。2023年4月、経過措置終了後どのように変化をするのか追って確認をしていく必要があります。

後発医薬品問題が続く中、後発医薬品調剤体制加算の届出は約10%減少

 2021年初旬から続く、後発医薬品メーカーのGMP違反等による流通問題の中、調剤報酬改定では3段階に設定されていた加算は保持しながらも、「80%」「85%」「90%」と調剤割合が引き上げになりました。調剤割合の引き上げ、流通問題の影響も要因してか届出薬局数は10%弱減少しています。

 都道府県別の届出割合では、沖縄県93.3%を筆頭に宮崎県87.6%、島根県85.5%と高い割合を示しているのに対し、高知県57.3%、58.0%、東京都58.5%と都道府県によって大きな開きがあることが分かります。最も高い沖縄県93.3%ともっと低い高知県では36.0ポイントの差があります。

 「2023年末には全ての都道府県で80%」という政府目標がある中、次回2024年度改定では後発医薬品の行方が気になるところです。薬局全体の70%が算定をしている後発医薬品使用体制加算がどうなるのか、今後の動向に注目です。

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株式会社Kaeマネジメント

〒111-0053 東京都台東区浅草橋3丁目1番1号 TJビル3階

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